名庭師と新潟の自然が織りなす、
春夏秋冬の美しさに息をのむ。
4月中旬ごろ、ソメイヨシノと枝垂れ桜が開花。下旬には古民家を囲むように八重桜の並木が濃く桃色に色づき、数日でピンク色の絨毯が苔の上に広がります。
●枝垂れ桜
集古館わきの小さな門の中に立つ。
●ソメイヨシノ
中門から西門広場に立ち並びます。
八代当主が敷地中央に移植した、いまや当館の代名詞である樹齢150年・80畳の大藤棚の開花が始まるのは5月初旬。花開きながら房を下へと伸ばし、長い物で1m近くになります。朝は清々しく、夜のライトアップ時は妖艶な表情を湛えます。
●主屋2階からの眺め
空いっぱいの藤の花が、甘い香りとともに癒してくれます。咲き終わりは、散った花びらで辺り一面紫色の絨毯となります。
大賀ハスと呼ばれる古代ハス。6月下旬~7月にかけて神秘的なピンク色の花をつけます。花は早朝開き、4日目には散ってしまいます。
●古民家とハス池
古民家が囲むハス池は、北方文化博物館の一角に小さな里山の夏風景をつくります。
朱・黄に松の緑が混じり、その美しいコントラストはまさに絶景。大庭のモミジはその肢体を大広間の座敷側へ傾け、枝葉すべてを客人へ見せるように広げています。邸内は他にドウダンツツジや桜、ニシキギも美しく色づきます。
●ライトアップ
見ごろの11月下旬には開館時間を延長し、ライトアップを行います。
新潟の庭園では、雪の重みから枝を守るための雪吊りが冬の風物詩。作業は11月下旬から約1ヶ月かけて行われます。雪がひたすら降りつづき、館内は静寂に包まれます。
●冬囲いの古民家
雪によるモノトーンの色彩は、冬ならではの庭園美を生み出す。
この庭を以て千人の茶人をもてなすという、七代当主の構想の下に作られた池泉回遊式庭園。作庭を託されたのは柏崎市出身の庭匠・田中泰阿弥という、銀閣寺の二つの清泉の石組みを見事に発掘・復元したことで天才と呼ばれた人物で、各間からの視線が巧みに計算されています。築庭には5年をかけ、昭和33年に完成。「ここの庭つくるためとてわがいのち いきながらふるものにぞあるらし」と泰阿弥自身が詠んだ石碑が築山に建っています。その石組みや四季を彩る植栽は、自身の最高傑作と泰阿弥が誇った美しさ。これからも末長く後世に伝えてられていきます。
●茶室(非公開)
大庭の造成にあわせ庭園内に田中泰阿弥の見立てによる茶室(積翠菴、是空軒、いはのや、佐度看亭、時庵)が建てられた。
特に、積翠菴は柏崎市出身の茶人・松村宗悦が表千家の不審庵(重文)を模してつくることが許された由緒を持つ。
写真 上:積翠菴(大広間より望む)、下:時庵
館内は、伊藤家の先祖が積み上げた徳により不思議な「気」のエネルギーが満ちており、壮厳な癒しの空間が広がります。
特に大広間に面した御影石が、良い「気」を発しているとされています。