建築そのものが展示品。
伊藤家の美に触れる館。
大切な客人を迎えるための最も格式ある空間として、家訓をはじめ伊藤家に縁のある書画が当時のまま掲げられており、欄間には中国の故事にちなんだ物語が彫られるなど、家が正しく繁栄していく願いが込められています。こうした空間や作品から、伊藤家の交友関係、美意識、教養、考え方を感じ取ることができます。また享保雛はじめ、季節に応じた所蔵品も展示しています。
●大杯と大徳利
山の支配人らを集めた年始会で酌み交わされた大徳利と大杯。
●家訓の扁額
伊藤邸に逗留した漢学者長三州による「君子中庸に居る」の書。伊藤家三訓のひとつとして紹介されている。三州は五代当主の学問の師でもあった。
三間続きの茶の間は当主が応接室として利用した空間でした。室内に掲げられているのは明治の三筆の一人、日下部鳴鶴の書「楽事は盡さざるを以て趣き有りと為す」の言葉で、伊藤家の三訓のひとつです。
また台所(食事空間)では、慶事に用いられた伊万里、九谷、鍋島などの大皿や器が展示されています。
●かまど・大甕
炊事場では調理道具の一部を展示。台所だけで約70坪もの広さ。天井の煙出しも仰ぎ見てほしい。
伊藤家の美術コレクションを紹介するため、季節やテーマごとに企画展を行っています。この部屋は、「中の間」「中奥」などと呼ばれ女中らの仕事部屋でした。
●良寛
<松間遥見弥彦山>
伊藤家当主の年表、家系図などをはじめ、最も古くから掲げられていたという家訓の一つ「以倹養徳(倹を以て徳を養う)」(扁額)を展示しています。儒学者・細井平洲の書で、諸葛孔明の『誡子書』に拠ります。一方、財団設立に関わった協力者らの紹介や、設立時「史蹟文化振興会」として行った県内遺跡発掘調査の成果品等を展示しています。物見用に開かれた天井を見上げると七段もの梁組が見えます。
●帳簿
地域ごとの作徳米帳や水入れ帳など伊藤家の田畑経営における帳簿の一部を展示しています。
中国・韓国の陶磁器や日本の古美術など、博物館になるにふさわしいコレクションを揃えなければならないという、七代目の使命感が伝わってくるような逸品の数々を紹介しています。
●唐三彩 <馬>
五代当主が手植えしたとされる樹齢350年の赤松が松枯れした際に、松と先祖の供養の為、八代当主が松の下部を繰り抜き祠とし、その松で大日如来立像を彫り建立した。